こんばんは。凩です。
秋の夜長です。
リストのアヴェマリアを聴きながら読書です。バッハのもいいけど、リストならではの良さがあります。
さて、家田荘子さんのノンフィクション。
最初は、少年院の内部事情を暴露する内容と予想していました。
というのは、最近幼稚園・学校や児童自立支援施設の虐待事件を耳にしたので。
ところが、そういった内容は全くなし。
むしろ、犯罪行為を行ってしまった少女たちの経緯や思いにスポットを当て、
そんな環境を作ってしまった家庭や周りの人間関係に問題点を見出しています。
非常に同感。
とかく学校が教育の根幹ととられていますが、
教育において一番重要なのは今も昔も家庭です。
そんな家庭で、
彼女たちは壮絶な体験をしながら、非行・犯罪に走り、
当然の報いを受け、そして更生していきます。
きちんと人生をやり直していくのです。
逮捕されたから、少年院に入ったから、更生生活をしたから非行が止まるわけではありません。
ずっとむくれたまま突っ張ることも可能なのでしょう。
でも、正しい環境で自分を見つめなおせば、やり直せるのです。
それに気づき、罪を自覚し、そして「生きることで償う」。
本書で紹介される5人の少女は、それぞれ罪を犯していますが、
少年院で規則正しい生活をすることで、普通の感覚を取り戻すのでしょう、
少し幼いような印象ですが、普通の少女たちです。
人は生まれたときには罪を犯すかどうか決まっている
みたいな話を聞いたことがありますが、
これは形質的な問題よりも、環境的な意味を多く含んでいると思います。
どんな子どもにも罪を犯す危険性はある。
我々は、これを肝に銘じなければなりません。
彼らを導く人生の先輩、見本、教育者として。
犯罪は確かに許されることではありません。
しかし、そういった安心できない社会が、大人たちによって作り出されたのも事実です。
我々一人ひとりの大人たちが、
より良い社会を作るために責任をもって行動しなくてはならないのです。

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